旅の記録ーセビーリャへ。


スペイン最大規模のカテドラル正門

グラナダからセビーリャへの移動の計画は完璧でしたが、思わぬ落とし穴がありました。国鉄の駅まで、というメッセージを送って予約してもらったはずのタクシーが、私たちを降ろしたのは高速バスの駅だったのです。

慌てた私が犯したミスは、そのバスの駅から近そうな説明を受けて間に合うと踏んだ国鉄の駅まで、タクシーを使わなかったことです。バスの駅のインフォメーションが説明したよりも国鉄の駅は遥かに遠く、大荷物を抱えての徒歩の移動では、とても間に合う距離ではありませんでした。

結局荷物を抱えてこれ以上歩けない限界で立ち止まり、タクシーを拾って国鉄の駅に着きましたが、当然列車は出発した後。駅員さんに状況を説明して頼み込み、なんとかその日のうちの列車に乗せてもらえるように調整してもらいました。ですが、出発は3時間後、到着は24時を越えてしまいます。セビーリャのホテルもアパートメントタイプなので、フロントからは早く従業員がいなくなってしまいます。

私はグラナダでの宿泊でお世話になったフロントの従業員、Anasに連絡を取り、なんとかセビーリャのアパートメントの従業員を捕まえてくれと頼みました。状況を理解したAnasはどう調べたのか、従業員の携帯番号を突き止め、教えてくれました。そしてなんとか連絡がつき、メインドアや部屋のドアを開けるための鍵が入ったボックスの暗証番号を教えてもらい、入室が可能に。

英語がうまく通じない従業員の中途半端な説明に不安を感じながらも、なんとかメインドアの鍵、部屋の鍵の在り処を突き止め、部屋に入れたのが24時を過ぎていましたが、そんなことを忘れさせるような驚きがありました。部屋が異常に広かったのです。日本なら5人家族が十分暮らせるような広さです。ベッドルームは一つだったので、やはり二人用の部屋なのでしょうけれども、リビングだけで15畳くらいはあるでしょうか。大人が二人は十分足を伸ばして眠れる大きさのソファが威圧感すら感じさせません。

妻も私もさすがに言葉を失ってしまい、ただただ驚くばかり。しかもリビングの大きな窓や、プライベートテラス、その上にある公共テラスからは、スペイン最大級というカテドラルの全容が一望でき、その美しさにただただ圧倒されるばかり。ここまでの苦労が吹っ飛ぶとはこのことです。

私は方々に連絡したり交渉したり、妻が持てない荷物を抱えて走ったりと、精神的にも肉体的にも疲労困憊し、3時にはコテンと寝てしまいましたが、妻は部屋とそこからの景色に興奮してか、一睡もしなかったセビーリャの1日目になりました。

2日目、ようやく陽のあたるセビーリャとご対面。朝陽はバルコニーの左側から昇り、カテドラルを薄く照らし出していきます。その神々しさも言葉に表せないほどです。私たちは苦労もするけれど、とても恵まれているのだと実感した朝でした。この光景を、私たちは一生忘れることはないでしょう。

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