旅の追憶ー始まりの、始まり


帰国。羽田から、わが家へ。

2017年10月29日、2週間の新婚旅行の旅程を終えて、帰国しました。今日は11月5日。結婚して最初の1年の最終日です。

この旅はなんだったのか。単なる新婚旅行のようには思えません。新婚と呼べる最初の1年が終わるギリギリに実現し、多くの幸運に恵まれて、無事はもちろん、多くの素晴らしい体験と思い出を持ち帰ってきました。一度だけ、互いの意見が食い違う事がありましたが、冷静に話し合い、理解を得ることもできました。これも、この旅があってこそ気づき、改善できた前進だったと思っています。

振り返れば、2週間も四六時中時間を共にしたことはこれまでありませんでした。当然かもしれませんが、そんな経験の中で、互いが相手を思いやり、時に自分の気持ちを抑えても、相手のために、二人の時間のために尽くすこと。その大切さを学んだ旅でもありました。

考えれば出会うまでの40年以上、別々の全く異なる人生を歩んできた私たちです。ぶつかることも、我慢することも、それができないこともあって当然。その二人が2週間、ほとんど離れることなく過ごすことができた事実には、多くの意味が含まれているように思います。新婚が終わる直前の新婚旅行は、これからの共同生活の、始まりの始まりだったのだと感じるのです。死が互いを分かつまで、いやそれ以上の時間を共に過ごすことへの、本当の始まりだったのではないでしょうか。

明日、私たちは結婚1周年を祝います。旅の記録として作っている何百枚にものぼるポラロイドでのアルバムや、nohanaといった記念冊子の制作は、まだ終わっていません。願うのは、こうして二人で作り上げる時間や経験のひとつひとつが、この先も連鎖して途切れることなく、先へ進むための節目であり始まりであってほしいと思います。

お互いにとって初めてのスペイン。到着当初は頼りない地図で街に迷い、英語もろくに通じず戸惑いながらも順々に目的を成し遂げ、幸運の助けもあって素晴らしい景色や空気を共に感じ、感動し、自分を省み、相手を想い、その大切さと素晴らしさを実感できた旅でした。

そして後ろ髪を引かれる思いで日本に帰り、徐々に旅は旅としてアルバムの中に整理されていき、心は解きほぐされ、同時に固まっていく確かなものを新たに作り始めています。それが旅というものの本当の目的だったのかもしれません。森有正氏は、「旅はまた帰って来るため」と定義しています。体験を経験に昇華し、出ては帰り互いの絆を確かめ、固めていく。旅とはそういうものなのかもしれません。その意味で、私たちの旅は恵まれ、豊かなものであったと天に感謝する思いです。

結婚生活、という旅はまだ始まったばかりです。この旅も、行きては戻りつつ一歩づつ前進し、互いを尊重し高め合い、豊かな心を育てていく道程の中にあるのでしょう。この旅が、スペインの2週間のように、恵まれ、豊かになることを祈るばかりです。

また、これを読まれている皆さんの生活にも恵みがありますことを切に願いつつ、神への感謝とパートナーへの労りの気持ちが続きますよう祈りましょう。

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